高額な原状回復費用が見積もられた場合でも、根拠を持って交渉することで適正な金額まで減額することができます。
今回ご紹介する事例では、見積もられていた工事のうち、自社でできる工事(C工事)を分けて発注することで退去コストをさげることに成功しました。
賃借人の概要
賃借人 | 株式会社J.C.O.S (通信・物流を取り扱う株式会社J.C.O.S) |
テナント | 東京都港区 スタジアムプレイス青山 5・6階426.77㎡/129.09坪 |
明渡し日 | 2019年2月28日 |
賃貸人の概要
賃 貸 人 | 三井住友信託銀行株式会社 |
管理会社 | 株式会社エム・エス・ビルサポート |
指定業者 | 株式会社エム・エス・ビルサポート |
大手の金融機関で、BM(ビル管理運営)・指定業者は大手デベロッパーの関連会社が務める。
実績
コンサルスタート金額 | 9,360,000円 |
合意金額 | 6,958,000円 |
削減額 | 2,402,000円 |
減額率 | 25.7% |
1000万円の原状回復見積もりに驚愕! 削減のポイントは収去権
株式会社J.C.O.Sは順調に事業を拡大させており、それに伴って事務所面積が手狭になってきました。そこで、退去する旨を賃貸人に通知し、指定業者に原状回復の見積もりを依頼しました。
すると、1010万円と算定されたので、これは高額過ぎではないか、と考えた株式会社J.C.O.Sは原状回復費用を削減してくれるコンサルタントを探すことにしたのです。
そのなかで、知り合いに紹介された一般社団法人RCAA協会の会員であるスリーエー・コーポレーション(3AC)とも話す機会がありました。
株式会社J.C.O.Sは3AC担当者との面談時に、会話の端々から感じられるプロフェッショナルとしての意識の高さと、それを裏付ける数々の実績と資料を見て、依頼することにしたのです。
早速3ACの担当者が査定してみると、やはり1010万円は高すぎで、680万円が適正な工事費用という案件でした。
コストが高額になっていた一因が、間仕切りの解体・撤去作業と、弱電配線(電話やインターネットなどの配線)の撤去作業です。
この作業を自社で収去できるC工事とすることで、費用の削減ができます。
間仕切りと弱電配線撤去を指定業者の原状回復工事と分けることは、『収去権』という根拠があります。簡単に説明するならば「自社で持ち込んだ資産は自社で撤去できる」というものです。

エビデンスを背景にした適切な交渉が減額の要
エビデンスに基づいた提案により、間仕切り解体撤去・弱電配線撤去を分けて発注することを賃貸人に認めてもらうことができました。
また、C工事(テナント工事)を3ACが監理・監修することもビル側に承認してもらいました。
諸々の適正化によって、最終的に合意できた額が約696万円です。当初よりも30%程度削減することができた計算です。
ちなみに、株式会社J.C.O.Sの事例では移転先の工事完了が押してしまった関係で引っ越し日を協議するサポートもさせていただきました。
査定者の所見

工事区分の確認は、原状回復の削減において外せないチェック項目です。
基本的に、C工事は賃借人の裁量で行うことができるため、依頼する業者も賃貸人の指定業者ではなく競争原理の働く一般の業者を選ぶことが可能です(賃貸借契約書によります)。
RCAA協会では、こうした原状回復に関する知識と、特殊な慣習もある建築関係においてどのように交渉すべきかというノウハウを持ってクライアントをサポートしています。
賃貸人と喧嘩腰で交渉するのではなく、あくまでエビデンスに基づき、合理的な交渉によって原状回復費用を適正化するのです。
また、今回の事例のようにオフィス移転における相談・サポートも行っていますので、オフィス移転について右も左も分からないという担当者はぜひ一度ご相談ください。
査定員 堀田 猛