大手ディベロッパーやゼネコンの原状回復工事はどうして割高なのでしょうか?
今回の事例は削減割合こそ低いものの、「一見何も問題がない工事も適正価格になっていない」という実例といえます。
賃借人の概要
賃借人 | 株式会社ソルナ |
テナント | 東京23区内のビルに入居 6階137.6㎡/41.6坪 |
賃貸人の概要
総合ディベロッパーを務める大手不動産会社で、AM(資産管理業務)・PM(賃貸経営管理業務)BM(ビル管理運営)、及び指定業者もすべて同社が行っている
実績
初回見積金額 | 4,523,000円 |
査定額 | 3,800,000円 |
合意金額 | 3,800,000円 |
削減率 | 16% |
割高な原状回復費、適正価格を調べてもらったところ?

ソルナ社は、東京の中心ともいえる地区の有名ビルに入居していたが、事業拡大に伴いオフィスが手狭になっていました。また、ソルナ社代表が愛犬家で、オフィスで犬を飼えれば、と考え一戸建てのオフィスを探していました。
運良く23区内で手頃な物件が見つかったため、入居していたビルに原状回復工事の見積もりをしてもらったところ、約450万円という見積書が届きました。
これを割高に感じたソルナ社代表は、旧知の不動産・建築コンサルタントに相談したのです。
そのコンサルタントが在籍していたのが、一般社団法人RCAA協会の協会員であるスリーエー・コーポレーション(3AC)だったのです。
3ACのコンサルタントは、380万円程度が適正であると助言し、ソルナ社も改めてコンサルティングを依頼しました。
一見問題のない工事でも適正化の余地あり!
今回の事例は、見積もりで示された工事区分・工事範囲・施工方法は適正なものでした。しかし、搬出や搬入に関する仮設工事や、諸官庁への届出書類作成が一般的な工事に比べて高額になっていました。
大手のディベロッパーやゼネコンは、こうした仮設工事が割高になりがちです。専門家の目から見ると必要のない項目を並べて、金額を釣り上げているケースが少なくありません。
実際、一般的なAグレード内装業者は同じ施工内容にもかかわらず、仮設工事や諸官庁届け出で金額を増額するようなことはしていないのです。
およそ1カ月の協議によって、適正価格である380万円で合意が成立、ソルナ社社長にも満足していただけました。
査定者の所見

今回の事例のポイントは、工事区分・工事範囲・施工方法は適正だったということです。
RCAA協会が提供している情報などから、原状回復の際、工事区分・工事範囲・施工方法などを契約書で確認することが大事、ということを学んでくださっている担当者もいらっしゃると思います。
しかし、今回のような「本当にその費用は原状回復工事に必要なのか」ということを見破るには、専門的な知識がなければ難しいでしょう。
「自社の場合は適正な見積もりをしてくれている」と、素人判断をしてしまうのではなく、まずは専門家に相談して確認することが、オフィス移転時のコスト削減、無駄の排除に欠かせないのです。
RCAA協会会員
株式会社スリーエー・コーポレーション
査定員 萩原大巳