店舗転貸借契約の場合の原状回復義務にご用心

 

 転貸借とは、いわゆる「又貸し」のこと。賃借人が賃貸借関係を維持しながら第三者へ物件を貸すことで、元の賃貸人の許諾が必要だが、このような賃貸借契約も存在する。通常の賃貸借契約とは少し違うので、この場合の原状回復はどのようになるのか知らない方も多いだろう。今回は転貸借契約の物件移転というケースを紹介する。

 

賃借人の概要

看板

株式会社このは

第一下谷ビル

1階62.21㎡/18.82坪

 

賃貸人の概要

株式会社マルタカ・パルスがPM(賃貸経営管理業務)も行っており、BM(ビル管理運営)推薦業者はフジタビルメンテナンス株式会社

 

転貸借契約の物件でも原状回復費の削減は可能か

 本事例の物件は、元々は下谷不動産が賃貸人であり、マルタカ・パルスは賃借人であった。その後、マルタカ・パルスが株式会社このはへ又貸ししたという、いわゆる転貸借が行われた物件である。

 それから賃借人(このは)は店舗移転のため、解約を通知。すると原状回復工事の見積もりとして算定された額は107万円であった。できるだけ費用を抑えたいと考えた賃借人担当者は、知人の紹介で株式会社スリーエー・コーポレーション(3AC)に相談し、サポートを依頼した。

 

本事例における賃借人の原状回復義務範囲 

 工事前

本事例の問題点は、賃借人のこのはだけでなく、前賃借人であるマルタカ・パルスも原状回復義務を果たさなければならないのに、このはがすべてを負担しているということである。つまり、提出された見積もりには、現賃借人が負担しなくてよい工事も含まれているというわけだ。

 この事例で賃借人が負担すべき工事内容は間仕切り撤去跡の損傷箇所補修、クリーニングのみ。しかもその際の費用は賃貸人、賃借人で按分し負担する。見積書にはこれ以外にタイルカーペットの撤去、天井塗装、壁面貼り替えまで含まれていたが、これは前賃借人(現賃貸人)のマルタカ・パルスが費用負担する義務があった。

 

 

協議の結果、驚きの削減額に! 

 なぜこの理屈が成り立つのか。それは賃貸借契約書に「退去後の原状回復費用は賃貸人・賃借人が按分し負担する」としか書いてないからである。

 通常損耗を賃借人に負担させる場合、その旨を賃貸借契約書及び付随する特約に明記しておかなければならない。そして賃貸人(今回の場合はマルタカ・パルス)にはそれを賃借人に説明する義務がある。

 これをエビデンスとして協議した結果、原状回復費は15万円となった。当初の見積もりが107万円だったので、実に85.98%(92万円)の削減である。

 

「株式会社このは」様からいただいたコメント

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明渡し期日まで間もないうえ年末と、悪条件の中で3ACに依頼したにもかかわらず、現地調査、助言者としての協議参加までしていただきました。ビル側との面談、金額合意まで短期間での対応、大変感謝しております。また、ここまで大幅に金額を減額していただき大変驚いております。 今回、3ACに相談して、本当に良かったと思います。今後も店舗移転する際にはご連絡させていただきます。この度はありがとうございました。

(代表取締役 後藤喜久子氏)

査定員の所見

査定員 山田貴人転貸借契約における原状回復工事では、本来負担する必要のない工事まで現賃借人が負担するケースが目立つ。これは、相手担当者の知識不足ということも少なくない。  今回紹介したケースでは、9割近い額を削減できたが、原状回復やそれに関する知識がなければ“知らずに払ってしまう”ということも十分にあり得た。適正な価格で原状回復を行い、円満に移転を成功させるためにも、オフィスや店舗の移転時には専門家へ相談することをセットで考えるべきであろう。

一般社団法人RCAA協会会員
株式会社スリーエー・コーポレーション
査定者 山田 貴人

 

 

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