原状回復・B工事の適正査定依頼が多くなっている社会情勢
最近、適正査定の依頼が増えています。その原因は、
- リモートワークにより、働く「場」を見直している経営者の増加
働き方をデザインすることがオフィスをデザインすることです。
「DXをフル活用した働く場」という環境提供、それは、生産性向上に直結します。生産性向上は経営の骨幹です。 - 経済のグローバル化
東証の6割超は外資系取引です。不動産投資においても4割を超える投資マネーは外資と言われています。当然、中小企業の株式投資、M &Aなど激増しています。京都・ニセコはその典型的なケースです。
海外の投資家の価値基準はドルです。原状回復、B工事、指定業者などという慣例もありません。
オフィスの見直しは経営責任です。適正費用の基準値として査定、評価(Assessment)が求められます。
「適正査定」とは何?
原状回復工事も移転先のB工事も、見積りのスタンダードはありません。
C工事は、条件設定して入札が可能です。日本の賃貸借契約では、テナントに安全・安心を提供する責任は貸主責任とされています。耐震、避難通路、停電対応、空調換気、防災、ELVなど、速やかに復旧する義務を負っています。その為、指定業者という独占的地位が認められています。
RCAA協会では、原状回復費・B工事費の適正査定について「建築資材の調達価格、労務費、施工管理費、会社経費、及び利益の積み上げた建築設備費」を適正価格と定義しています。その上にビル運営のルールによる制約条件を考慮して総合的に分析、その費用の積み上げ方式で査定しています。
これは、47都道府県の入札の方法と同じ考え方です。そこに、入札した場合の価格に過去の実績を加味して原状回復・B工事適正査定を実施しています。2021 年12月締めで3,000法人を超え、3,800拠点を超える査定実績があります。
近年は裁判の証として弁護士、裁判所の専門委員の先生方からの依頼が増えています。また、資産除去の会計処理のため公認会計士からの問合せも増えています。
大手財閥系と世界のグローバル企業の原状回復裁判でも借主の弁護士チームより弊社に依頼がありました。ビル3棟35,000坪の原状回復紛争でした。(日本最大の原状回復紛争前解決、結果は裁判員立会の和解となりました。)
商標登録しています
- 原状回復費適正査定(一般社団法人RCAA協会)
- ロゴと原状回復適正費用目論見書(RCAA協会会員 株式会社スリーエー・コーポレーション)
指定業者の見積り高騰の原因と、相見積りでは法的根拠にならない理由
工事費高騰の主な原因は、
- 指定業者
- 重層請負構造
- 工事範囲
です。
原状回復・B工事の指定業者の見積りは、Aクラス・プレミアムクラスほど高額であり、C工事業者と比べると平均2倍を越すとのデータもあります。これは大手家電量販店をはじめ多店舗展開する大手ナショナルチェーンの店舗開発に関わる専門家の共通認識です。グループ参加企業に建設関連業者を保有し、競争原理の価格は把握しています。
一般企業の場合、適正価格査定の依頼もせず、トラブルを避けるためにほとんど協議もなしに発注しています。指定業者を契約締結から認めた賃貸借契約は、まるで「一任勘定を承諾」した契約書と勘違いしています。
PM[1]もBM[2]もビルオーナーによる厳しい入札、または指値で受託します。ビル建築も厳しい入札コスト競争です。
建物維持管理、テナントに選んでもらえるビルにするため、共用部および賃貸人資産の改修工事は定期的に実施されます。ビル側業者は入居工事(原状変更)、退去の原状回復工事の指定による利益が、慣例により利権化しています。
[1] PM…プロパティマネジメント(運営・管理業務)
[2] BM…ビルマネジメント(物件自体の管理業務)
次に、一次二次三次四次下請けの重層請負構造です。
技能工はC工事業者からも請負します。ビル側業社からも請負します。ビル側C工事業社共に現場で働く技能工の労務費はほぼ同じ費用です。
ではなぜビル側指定業者の見積りは驚くほど高いのでしょう?
それぞれの業者が利益を按分する重層請負構造が原因です。専有部の原状回復工事をする時は、エレベーターホール、男女トイレ、休憩スモーキングエリア、湯沸しエリアなど共用部も美装工事がおこなわれます。貸主よりチェックの入らない原状回復・B工事は、ビル側業者にとっては確実に利益を上げられる工事なのです。利権化しています。その証拠に、指定業者は指定以外のビルでは工事を請負うコスト競争力がありません。
相見積りは、施工しない業者の見積りでは、法理ではエビデンスとして認められません。まして、指定業者の見積項目に値段を入れた相見積りなど論外です。逆に指定業社の工事項目を全て認めた証となってしまいます。
入居(原状変更)工事を協議もせずに発注すると、「退去の原状回復の時だけ値引きを要求した」と紛争になった場合、貸主、貸主側業者は主張してきます。
貸主にはPM、BM、宅建士、建築士、電気空調換気、防災などの設備士がついています。テナントは、管理部のスタッフで経験もありません。これでは協議の前から情報格差が大きすぎ負けています。
ですから、入居工事の時から専門家に相談することが大切となってきます。
ガイドラインに代わる事業用不動産の交渉基準は「適正査定」しか方法がありません。日本スタイルの賃貸借契約は、公正でもフェアでもありません。ビル側業者のお客様はテナントではなくビルオーナーなのです。
査定会社を選ぶ7つのポイントとは?
ビルインのスペース貸しでは原状回復もB工事も貸主・借主の所有権が錯綜します。そのため、ABC工事区分が定められています。
賃貸契約書、特約、仕上表、原状変更図書(入居工事申請図書)、基準階図書(原状確定図書)を開示し、資料を理解してビル運営のルール(館内規則)、工事の重要事項(内装工事指針書)により施工条件、管理体制が決まります。
この前提条件を全て理解したうえでの「原状回復・B工事」の査定でなければ意味がありません。
7つのポイント
- 原状回復・B工事の範囲、面積をミエルカ、見積条件書を明確に定義できること。
- 施工体制、管理体制の明確化・・・許認可、マニフェスト、官庁申請書類、施工保険の提出を義務付ける。
- 査定書の費用根拠を明確に説明できること、問題点の抽出ロジックの構築ができていること。
- 実績を査定依頼者(クライアント)に守秘義務締結のうえ開示できるか。
- 法令遵守・・・特に非弁行為と査定員の士業としての国家資格、宅建士、建築士、法務は弁護士を確認する。
- 費用対効果・・・アドバイザリーFee(成功報酬)と指定業社の発注合計金額で費用対効果を算出する。
※成功報酬の%で比較しますと、明渡し期日が決まっているため削減できないケースが見受けられます。 - リスク回避・・・明渡し遅延損害金の対象になった時の責任について、保全を担保できている。
1~7は、査定依頼するときに必ず押さえるポイントです。
※他社との比較にチェックシートをご活用ください。