オフィス移転する時、必ず「原状回復」が義務付けられています。
原状回復工事費見積もりを見て、「これは高い!なんとか削減できないか?」と思う担当者がたくさんいます。この記事を読んでいる方もそんな一人ではないでしょうか。
すべての担当者は高すぎると感じながら、ビルオーナー側が提示する見積り通りの金額を支払っています。
しかし、「なんとか原状回復工事費用を削減できないか」と行動しようとする方もいます。原状回復費.comでは、そのような方を応援しています。
原状回復を正しく理解し、納得のいくオフィス移転を成功させましょう。
正しく原状回復を理解し、納得のいくオフィス移転を成功させましょう
オフィス移転における原状回復義務について、多くの担当者が悩む3つの点をわかりやすく解説します。
- なぜオフィスの原状回復費用が高いのか?
- 原状回復工事費用を適正価格まで値下げできないか?
- ビルオーナー指定の業者との交渉でトラブルにならないか?
まず、原状回復の概要を確認しましょう。
原状回復とは、ある事情によって生じた 現在の状態を、本来の状態「原状(コンディション)」に戻すことです。ここでの事情とは、入居時の改修工事(原状変更)のことです。
例えば、賃貸契約を解約する場合、賃貸物件を「原状に回復して」明け渡さなければなりません。表現はさまざまですが、明渡しに伴う原状回復義務が明記されています。
原状回復費用が高いのは、入居時の改修内容によって大きく異なりますが、一般的には以下の理由です。
- 改修範囲が広いほど費用は高くなる。床・壁の張り替え、配管・配線の追加などは大規模な工事となる。
- 材料の種類によっても大きく影響される。天然石・高級合板などは安価なコンクリート・プラスチックに比べて原状回復費用は高くつく。
- 専門技術を要する場合、費用は上がる。防音・防振工事などは専門的な知識と技能が必要であり、それに見合った費用が発生する。
原状回復費用の適正価格については、入居時と同等またはそれ以下との考え方が一般的です。しかし、現状においては入居時の改修内容・範囲に応じて大きく異なってきます。
【改正民法621条】(賃借人の原状回復義務)
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年の変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
参照:Wikibooks (https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC621%E6%9D%A1)
お悩み①原状回復工事費が高い理由
原状回復工事費が高い理由は、5つです。
- 指定業者以外は原状回復工事ができない賃貸契約のため
- 工事の範囲が不明確(原状が曖昧)
- 工事方法の内容が曖昧(特別損耗の回復方法と通常損耗の法理は異なる)
- 業者が重層する構造(ビル運営のルール:内装工事指針書)
- 多くの賃借人(テナント)の担当者には建築や不動産、法律の専門知識がない
指定業者以外は原状回復工事ができない賃貸契約のため
日本の建築基準法、建物維持管理(ビル管理・BM)、消防法も世界で類をみないほど厳しい規制です。 これは災害国家日本の建物は命を守ることを最優先とし、貸主は借主に安心安全を提供するための仕組みとして、貸主の指定する業者によりBMを行い、その延長で原状回復、移転先のB工事など指定業者制度が定着しました。
これを応用して、独占的地位の指定業者による原状回復工事の高騰、B工事費の高騰問題はむしろコロナ禍で増えています。先進国では原状回復、B工事、高額な預託金(敷金制度)がありません。しかも競争原理が働かない指定業者制度もありません。原状回復工事費が高い原因の一つは、硬直した指定業者制度です。
原状回復工事範囲が不明確だから(原状が曖昧)
原状回復工事費が高い理由の二つ目は、貸主、借主が承諾した原状に回復する工事が原状回復です。しかし、そこが曖昧だと、本来、原状回復工事を行う必要がない部分まで工事範囲として見積もられている場合があります。
例えば、共用部分も含まれてしまう場合があります。トイレやお湯沸かしエリア、エレベーターホールなどが工事範囲に含まれているのです。これらは共用部分で、本来、オフィスや事務所の借主(テナント)は費用負担をする必要はありません。インテリジェントビルはネットワークで電気・空調・換気・防災、セキュリティを集中管理しています。これらの設備はすべてビルの管理室の工事と関連しています。借主が原状回復工事費をどこまで負担するかは今後大きな争点になります。
原状回復工事方法の内容が曖昧(特別損耗の回復方法)と通常損耗の法理とは?
原状回復工事費が高い理由の三つ目は、部分的修繕のはずが全面修繕や新規取替貼り替えになっているケースがあります。
天井や床を修繕しなければならない時、一部分のみ修繕をすれば十分なのに全面張り替えとして見積もられていることがあります。電気、空調、換気、防災、竣工後15年も経過すれば製造中止になっています。
その設備はすべて法定償却は終了しており、調子が悪ければ新規交換、それも最新型の環境対応にしなければなりません。
これ、すべて借主負担ですか?(特別損耗の工事方法)
これでは、原状回復というグレードアップ工事です。
見落としがちなのが通常損耗の分も原状回復工事に含まれているケース。通常の利用で発生した損耗のことを「通常損耗」といいます。カーペットや壁紙の経年劣化経年変化がそれに当たります。オフィスとして利用している以上、通常損耗は必ず発生するため、借主(テナント)が費用負担をしなくても良いケースもあります。ただ、賃貸借契約上、通常損耗についても原状回復が義務とされている場合にはこの限りではありません。(原状回復特約の有効性)
上記の問題に対処するため改正民法621条により住居、事業用不動産賃貸に関する原状回復義務について、原状回復の定義範囲、工事内容の明文化を貸主責任と定めました。
業者が重層する構造だから
原状回復工事費が高い理由の四つ目は、重層請負体制です。
元請け企業、一次下請け(ビルメンテナンス会社)、二次下請け、三次下請け、四次下請けの重層請負構造で、多くのデベロッパーがビルを運営しています。 この構造では、各レベルの建設会社がマージンを積み上げます。彼ら自身は工事を行わず、下請け業者に発注し、その下請け業者はさらに下の下請け業者に発注します。
当然、間に入る業者の数が増えるほど、各業者がマージンを取っていくため、トータルコストが高くなってしまいます。この重層請負体制が原状回復工事費用を押し上げる要因の1つになっています。 これはビル運営のルールによって決まっています。貸主側で決めた工事に関するルールが内装工事指針書になります。
多くの賃借人(テナント)の担当者には建築や不動産、法律の専門知識がない
多くの賃借人(テナント)の担当者には建築や不動産、法律に関する詳細な専門知識がないため、原状回復工事費用の見積もりを見ても、その内容や単価の適正さを判断できないことが多いです。第三者による見積もりの適正性や指摘もないため、工事業者の主張する金額で決まってしまうのが実情です。
また、賃貸借契約書で原状回復の指定工事業者が決まっているケースも多く、競争原理が働かないので、自然と高額な工事費になってしまうのです。
要約すると、賃借人(テナント)の専門知識の欠如と指定工事業者による競争のない環境が、原状回復工事費の高騰を招いていると言えます。
お悩み②原状回復工事費を適正価格まで削減することはできるのか?
原状回復工事費を適正な価格まで削減できるかどうかは、高額になってしまう原因を正しく理解し、適切な対策を取れているかにかかっています。
原状回復工事費を適正な価格まで削減できるかどうかは、高額になってしまう原因を正しく理解し、適切な対策を取れているかにかかっています。
高額になる原因としては、
- 過剰な工程を設定している
- 過大な見積もりをしている
- 不要な工事を含めている
などが考えられます。
こうした原因に対し、必要な工事を適切に見積もり、無駄な工程を排除することで、原状回復工事費を抑えることができます。 また、工事内容を精査し、安価な工法や資材を採用したり、工期を長期化したりすることでも、工事費の削減につながります。 適切な知識とノウハウを持って原状回復工事費の見積もりを行えば、合理的な金額まで削減することは可能です。
明確に原状回復の定義範囲と工事内容を定める
原状回復工事範囲と工事内容があいまいな見積もりは、現地調査をせずに作成されたものです。 現地調査、図面、契約書の関連資料を現地と照らし合わせることは絶対条件です。
専門家チームが現地調査を行い、原状回復の定義、工事範囲、工事内容を明確に定めます。 私たちはそれを原状回復適正査定(ミエルカ)と呼んでいます。交渉のポイントはエビデンス(証拠)です。 大手デベロッパーであってもスーパーゼネコンであっても、真実のエビデンス(証拠)には勝てません。
重曹構造問題の解決策
原状回復費用.comでは、CM(コンストラクション・マネジメント)の方式を採用しています。
発注者の立場から、価格交渉、資材調達、施工管理などを包括的に管理できるため、発注プロセスや費用項目の透明性を高めることができます。 したがって、従来の重層構造によって生じていた不必要な流通コストを削減することができます。
お悩み③原状回復費用を交渉してトラブルに発展しないか?
結論を先に言えば、原状回復にかかる工事費用の削減コンサルティングを依頼して、ビルオーナーやビル管理会社とトラブルになることはまずありません。そのためにもエビデンス(証拠)が重要です。
明確なエビデンスがあり、トラブル情報が広まるのは貸主側にとって不利益になるからです。
国の建築入札の場合、基準単価というものが明記されています。 弊社はこの基準単価を用いて、適正な見積もり条件の元で原状回復費用の適正査定書及び見積条件書(見積書)を作成し、交渉に臨みます。
弊社はテナント側の正当な権利を合法的に主張するというスタンスで活動しているので、賃貸人(ビルオーナー)、管理会社と円満な合意をすることができます。法治国家はすべてエビデンス(証拠)を第三者が審議する仕組みです。また、トラブル防止・円滑な交渉のために、弁護士とチームを組むこともあります。
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