オフィスや事務所、店舗の原状回復トラブル事例10選

オフィスや事務所、店舗から移転し、退去をする際は原状回復する必要があります。

しかし、テナント側にとってそうした機会は頻繁にあることではないため、担当者はノウハウを積むことができません。

原状回復に対する理解が不足していて、トラブルになることも日常茶飯事です。ちょっとしたトラブルと思っていたら裁判に発展してしまうというケースもあります。

そこで今回は、オフィスや事務所、店舗の退去時、実際に起きてしまった原状回復のトラブル事例を紹介します。紹介する事例は典型的なものが多く、同じような悩みを持たれている担当者の方もいらっしゃると思います。

それぞれの事例に対してより詳細に説明しているリンクを設けましたので、まずはご自身が置かれている状況と似ている事例、気になっている事例を探してみてください。

事例1:原状回復の相場がわからないために交渉が難航

借主さんは店舗をスケルトン状態で借りました。入居時に250万円ほど工事費用をかけたので、原状回復費はあまりかけたくないと考えています。

そこで貸店舗を退去するにあたり、原状回復に関して貸主と交渉することにしました。すると貸主側から、「少し値引きをするから、80万円で手を打たないか」と提案されました。

一見、値引きの提案は好意的に思えます。しかし、そもそも相手の提案している金額が適切なのかどうかわかりません安易に受け入れていいのか、それとも値引きされたという80万円も実は相場より高いのか。借主は判断ができず困ってしまいました。

 

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借主側は原状回復費の相場を知らないケースが多いです。相場を知らないまま貸主と交渉をしても、提示金額の妥当性を判断できず、返答に困ってしまったり、交渉がヒートアップしてトラブルになってしまったりするケースが見られます。

 

※原状回復費用の相場については、以下の記事を参考にしてみてください。

オフィス原状回復費の相場はどれくらい?

居抜き退去でオフィス原状回復費を大幅に削減!

 

事例2:工事をする時間帯で作業費用が割高に?

事務所を移転するため、原状回復工事の見積もりを確認してみると、工事費用が想定よりもずいぶん高く、疑問を感じたというケースです。

担当者が貸主に確認すると、工事をする時間帯が夜間のため、費用が割高になっているという回答でした。

誰もいないオフィスなのに、どうしてわざわざ夜間に工事をするのか、とトラブルになってしまいました。

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工事の時間帯は、原状回復においてトラブルに発展しやすい問題のひとつです。

夜間工事は、当然のことながら日中の工事よりも費用が割高になるので、借主としては不当な請求をされたと感じるわけです。

夜間に工事を行う合理的な理由がなければ、交渉する余地はあるでしょう。

 

事例3:備品の原状回復についてのトラブル

いくらもうすぐオフィスを退去するからといって、蛍光灯が切れてしまったらそのままというわけにはいきません。交換したばかりの蛍光灯なので原状回復する必要もなさそうです。

しかし、新品に交換したばかりの蛍光灯もすべて交換が必要だと言われ、全額費用負担を求められるケースは少なくありません。

借主としては無駄な出費にしか思えないですし、環境への負荷低減という観点からしても納得がいかないということでトラブルが多い事例です。

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退去するにあたり、貸主から新品にするように指示があった、備品を新品に換えるので費用を払え、といった請求がトラブルを生んでいます。どこまで借主が負担するのが適正なのか判断できず悩む方がたくさんいらっしゃいます。

 

※借主が負担する原状回復の範囲については、以下の記事を参考にしてみてください。

オフィス移転時の原状回復工事、範囲はどこまで?

 

事例4:交渉しようにも取り付く島もないケース

居抜きで店舗を譲り受け、貸主には敷金を納めた借主の事例です。

退去することになり、貸主側から原状回復費の見積もりを出してもらったところ、前の借主が作ったカウンターや、契約以前からある「外壁の穴」も原状回復費用に見積もられていた。

そこまで原状回復する必要があるということは、入居時に説明されておらず、契約書にも記載されていません。納得がいかず貸主へ交渉しようとすると、「法的手段に出る」と言って取り合ってもらえません。

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前の借主の作ったものや、前からあった傷などまで負担しろといわれると納得できないと思います。しかし、交渉しようにも「法的手段に出る」と言われると驚いてしまいます。話し合いすらできない状況というのがまた難しいところですが、意外とそういう貸主は少なくありません。

 

※法的なところまでトラブルがこじれそうな場合、以下の記事を参考にしてみてください。

オフィス原状回復費、高いと思っていませんか?

 

事例5:クロスやカーペットの原状回復に関するトラブル

10年前に借りた事務所を解約する際、貸主側から「クロスとカーペットは原状回復する必要があるので、それぞれ20万円ずつ合計40万円、別途保証金から引きます」と言われました。

「敷き引き(解約引き)は60万と予め決まっていたので、別途40万円を支払う必要はないのではないか」と借主は反論しました。すると貸主から半額にまけるから、20万円だけ負担してほしい」と打診されました。

借主は納得できず、「最近の裁判では、敷き引き(解約引き)以外の請求は却下されていて、判例も多く出ているはずだ」と主張しました。しかし貸主は「あれは居住用の話で、事務所は適用外だ」と言って、譲ろうとしません。この20万円は負担しなければならないのでしょうか?

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想定とは違う請求があると驚いてしまうのも無理ありません。カーペットやクロス代は負担しなければならないのか?居住用のルールと事務所用のルールはどのくらい違うのか?など、法律や不動産について詳しくないと迷ってしまうことでしょう。

 

※通常の使用による損耗や経年劣化については、以下の記事を参考にしてください。

オフィス原状回復費に含まれている経年劣化の修繕費は削減可能?

 

事例6:貸主都合の工事の場合、費用負担はどうなるの?

スケルトン状態で借りたオフィスから退去することになりました。本来、スケルトン状態で借りたのであれば、スケルトン状態にして返すのが原状回復です。しかし貸主は次の貸し出しのために、値段が高いスケルトンではなく、それより安く済む床、壁、天井の貼りなおしでの返却でもよいと言ってくれました。

借主としては、「次の貸し出しのため」ということなら、床壁工事の費用の半分位は貸主に負担してほしいと思いました。

その旨を伝えたのですが、貸主からは「要望は一切受け入れない」という回答で、借主としてはなんとか言い分を伝えたい、という事例です。

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原状回復の費用が安くなるのはありがたい話ですが、「次の貸し出しのために」という言葉が引っかかります。交渉をシャットアウトされてしまった借主は、泣き寝入りしかないのでしょうか。

 

事例7:原状回復は“契約前とまったく同じ状態”まで戻さないといけないのか

オフィス移転を決め、契約書に記載のある「スケルトン引渡し」に則って施工内容を調整したところ、いざ引渡しという段階になって、「今の状態では原状回復になっていないため、貸主が満足できるような状態にして物件を引き渡すように」との通達を受けました。契約書上ではスケルトン引渡しと記載しているにも関わらず、契約する前とまったく同じ状況に原状回復をして引渡しをしろと要求を受けている。

契約書ではスケルトン引渡しと記載しているにも関わらず、契約する前とまったく同じ状況に原状回復をして引渡しをしろと要求してきたわけです。

具体的にはコンセントやスイッチ用のブランクキャップ、水栓器具、外壁のエアコンビス穴、室外機用のスリーブ穴の埋め込みなど、契約時の状況に全て戻すことを求めています。果たしてここまでしなければいけないものなのでしょうか?

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借主・貸主双方とも言い分があると思いますが、実際にどこまで負担すべきなのかについては、専門家の意見を聞きながら、しっかりとした根拠(法律+契約書の精査+現場調査)に基づいて交渉する必要があります。

 

事例8:指定内装業者以外から見積もりを取ってみると・・・

オフィスから移転することになり、移転先の内装を依頼した業者に退去するビルの原状回復について聞いてみたところ、費用の概算を参考までに出してもらえました。実際の見積もりは高くなる可能性が高いとはいえ、相場を知ることにはなります。

その後、指定内装業者から原状回復の見積書が届き確認すると、見積もりの金額が、想定よりもあまりに高額で驚いてしまいました。
見積もり内容がどの程度適正な価格なのか、また、指定内装業者相手にどの程度まで金額の交渉が可能なのかを教えてほしい。

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なぜ見積もりに大きな差が生じたのか、また指定内装業者相手にどの程度まで金額の交渉が可能なのか。こうした問い合わせがたくさんあります。

実際のところは見積もりを拝見しないとわかりませんが、指定内装業者以外から見積もりを取ることはリスクも伴います。

 

※詳細は以下の記事を参考にしてください。

原状回復費の相見積もりを取るのは危険!?

 

事例9:国交省のガイドラインは事務所の賃貸借契約にも適用されるのか

10年間賃貸していた事務所から、移転のため退去することになりました。契約書には「退去時に借主負担で、クロス、床を新調する」と明記されており、クロスやカーペットの原状回復費として100万円の請求が来ている状態です。

借主は以下の3点を根拠として、原状回復費用を貸主と折半にできないかと考えました。

① 国土交通省のガイドラインでは、通常使用による経年劣化部分の修繕は貸主の負担とされている
② クロス、床(タイルカーペット)は6年間で減価償却となるはずで、現在の価値は0円のはずである
③ 退去時に借主負担でクロス、床を新調することは、重要事項として説明を受けていない

上記を伝えても貸主は変わらず全額負担を求めています。仮に法的手段を取る場合、どのような手段があるのでしょうか?借主が根拠とした主張は正しいのでしょうか?

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契約書には記載があるものの、重要事項としては説明を受けておらず、借主・貸主の認識にズレがあるというケースです。国交省のガイドラインを参考に交渉しようとする借主の方もおりますが、「国が言っているのだから」と、いきなり法的手段に訴えるよりも、原状回復の専門家に相談してみるのもひとつの方法です。

 

事例10:保証金とほぼ同額の原状回復費を請求されるトラブル

オフィス入居時に、300万弱の保証金を納めていました。契約書上、2ヶ月分の家賃は保証金から引かれることになっていたため、保証金の残額は230万円程度と計算できます。しかし、出てきた原状回復費用の見積もりは、原状回復200万、電球交換30万と、見積もり金額が保証金とほぼ同額になっていたのです。

ネットで調べたのですが、どう考えても高すぎる金額に思えます。しかし工事業者は指定されているので、相見積もりを取ることもできません。

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敷金・保証金とほぼ同額の見積もりが出てくるというのは、不自然さを感じます。工事業者が指定されているので相見積もりもできず、どう対処したらよいのか悩ましいという担当者は多いと思います。

 

※原状回復の見積もりについては、以下の記事を参考にしてください。

オフィスの敷金・保証金が返還されないのは、高額な原状回復費のせい!?

 

原状回復のトラブル解決の方法とは?

「トラブル」と聞くと、すぐ裁判などの法的手段が浮かんでしまうかもしれませんが、誰でも裁判沙汰は避けたいもの。とはいえ、原状回復においては貸主との関係がこじれてしまうと、直接の話し合いや交渉が非常に難しくなることも事実です。

トラブルになる前に原状回復の専門家に相談するのが一番ですが、もしもトラブルが起きてしまった場合でも、やはり専門家に相談してみることです。トラブルを深刻なものにしないためにも、適切な対応を取る必要があるからです。

 

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