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原状回復費減額事例 大規模100坪以上

一棟借り、敷金1億2,000万では原状回復費用が足りない?

原状回復見積は1億4,920万円!

削減額は5,570万、削減率37.3%、敷金返還額は2,650 万円!

借主は日本で最大・最優の芸能プロダクション「エイベックス・グループ」のスタジオ兼アカデミーの賃貸物件「エイベックス(株)」の原状回復義務履行の実例です。

コロナバンデミックはライブ、イベント、ムービー、プロモーションを演出する芸能プロダクションも直撃しました。これは、安室奈美恵や浜崎あゆみなど多数の有名スターが所属するプロダクションにとっても同じです。

芸能人はTikTok、You Tubeにこぞって参入、TV離れはますます進みます。

エイベックス経営陣の決断は速く、

「まず赤字を止め、キャシュを集めろ。その先に勝ち筋が見える。コロナもいずれ治まり、その時リアルの本物は残り、輝く。飛行機にファーストクラスがあるようにライブの価値は高い。まずは赤字を止める血の出る決断を!」

青山通りの本社自社ビルの売却、賃貸物件の見直しをしたのです。

一棟借り物件(426.5坪)の解約、その時のオフィス(事務所)移転の障壁、原状回復の問題点を解説します。

賃貸借契約の内訳、原状回復の内容とは?

建物名渋谷区某ビル 地下1階~地上4階
面積1410.12㎡/426.56坪
使用目的スタジオ、オフィス、アカデミー、イベントエリア、防音ルーム、駐車スペース
敷金(預託金)1億2,000万円
原状回復適正査定金額8,250万円〜9,900万円
貸主業者初回見積り1億4,920万円
再見積り金額1億1,500万円
合意金額9,350万円
削減額5,570万円
削減率37.3%
敷金返還額(目標)3,750万円 → (結果)2,650万円
家賃管理費1,144万円
原状回復対象面積299.6坪(地下1階126.9坪を除く)
解約予告10カ月前

(全て総額表示)

※類似ケースを動画でご紹介しています

オフィス移転の目的は3項に要約、難易度の極めて高い要望とは?

  • 家賃管理費ランニングコスト 1,144万円 → 0円
  • 退去費用原状回復費 1億4,920万円 → 適正価格発注(8,250万円を目標)
  • 敷金返還請求の確定 → 原状回復義務履行し、速やかに敷金3,750万円返還を勝ち取る

3項の協議のポイントとは?原状回復で問題続出、その解決策とは?

  • 10カ月前解約予告であったのでエイベックス・グループ全ての工程管理を参考にして、最短でも工事期間45日、設定移転先工事、引越しのタイムスケジュールを逆算工程で立て実行しました。解約予告通知を書面で提出し、原状回復見積依頼も同時にお願いしました。時間との戦いであり、明渡し遅延は家賃の倍額の損害金が発生します。
  • 原状回復見積1億4,920万に驚愕、原状回復対象面積は299.6坪/49.8万円。RCAA協会に相談し、協会会員3A Corporationに原状回復適正査定を依頼し協議に同席としました。
  • 敷金は会計処理上現金預金として処理するも、拘束されており原状回復が終わらないと返還されない現金預金でした。また、原状回復除去債務として多めに計上し、坪/31.5万円の9,437万円と、最高額の原状回復費用でした。

それでも足りない原状回復とは何?

本件のビルは、協立建築設計により設計され1985年竣工、築36年と古いビルであり、当時としてはグレードの高いビルであったが既に建築設備資材は全て生産中止でした。エイベックスも入居(2000年12月賃貸契約締結)してから更新を繰り返しながら21年が経過し現在に至っていました。

入居工事(原状変更)も社内に誰も解る人がいない状況でした。以前4階にはビルオーナーが住んでいましたが、現在はエイベックスが増床し、4階の原状回復だけはスケルトン戻しが確認できました。

貸主側も契約締結時の原状が解る人がおらず、原状変更図書、詳細図書、仕上表もない、そんな物件でした。

原状回復費が高い理由、床壁天井・建築・電気・空調換気・防災も全て新品、その上アスベスト含有はあるの?

築36年を超え、エイベックスが入居してから21年、全ての建築設備については法定償却が済んでいました。その間に改修工事を行った形跡はあるも、貸主、借主共に何の証もなく原状が解らないため、貸主の指定業者の見積は全てをスケルトンにした上に全ての内装設備を新品にしたオフィス仕様に変更する改修工事見積でした。当然、床・壁・天井は新品、電気、空調換気、防災、その他設備も新品でした。

「これは原状回復なのか?法定償却も済んでいるのに」

誰でも疑問に思います。

原状未確定問題の次は、アスベスト問題です。

アスベストは断熱剤として躯体に吹き付けをします。1985 年以前は塗装剤にアスベスト含有が見受けられます。これは竣工当時の躯体に施す工事であるのでA工事として貸主負担になります。内装材については1990年以降アスベストの含有はないです。しかし、床のPタイルの上にタイルカーペットを貼っていて、Pタイルはどちらの所有物かも不明でした。これは竣工当時の床と思われ、なおかつ1985年当時のPタイルはアスベスト含有があり得ます。

貸主も全て新品に交換する原状回復など法務根拠がないことは理解しています。その結果、1億4920万→1億1500万まで譲歩し、これ以上の協議は非弁行為の問題もあるので協会の法務指導弁護士N先生にお願いし、建築設備のエビデンス作成に専念しました。

借主代理人の主張は下記の通りです。

  • アスベストは上記を主張、メーカーに上記のレター作成を依頼した。
  • 原状が分からなければ原状復旧は誰がやっても不可能である。次のテナントから選ばれる改修工事が理想と思われるため、当初はエイベックス側の業者で施工を行う予定だったが、それを変更。貸主責任で次のテナントから選ばれる改修工事を好きにやって下さい。費用は敷金より相殺(敷引き)、原状回復負担金精算を主張。

貸主側も代理人弁護士に委任し原状回復負担金合意となりました。

結果、9,350万円の原状回復負担金精算合意でした。今回のケースは訴訟リスクの高い、原状回復に伴う敷金返還事件紛争前解決実例です。

借主貸主とも、賢明な弁護士の話し合いで紛争前解決となりました。これで工期の問題も敷金返還請求権も確定できます。

改正民法では原状を確定、復旧工事項目も情報開示説明責任も全て貸主責任と明文化されています。2020年4月以降の契約は改正民法が適用されます。今回の法務根拠は契約締結の20年以上前の契約書が基準となります。

クライアントからいただいたコメント

原状は解らない、アスベストも解らない、アスベスト調査までやって、それから原状回復工事、遅延損害金リスクもある

という3難を原状回復負担金精算合意で紛争前解決となりました。おかげさまで敷金も2650万円が速やかに返ってきました。

本当にありがとうございました。現在はスタートアップ企業の取締役としてアフターコロナに向けて邁進しております。担当して頂いた山田さんに宜しくお伝え下さい。

原状回復査定員 山田より一言

山田 貴人

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山田貴人

山田 貴人(Takahito Yamada)

(一社)RCAA協会会員 (株)スリーエーコーポレーション

・原状回復

・B工事適正査定員

500坪以上のスーパーグレードビルから中小規模のオフィス、店舗、住宅等、多岐にわたり原状回復トラブルを解決。

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