
オフィス移転を検討する際、「どんなことに費用が必要なのか?」という内訳と、「それらの相場価格を知りたい!」と思うのではないでしょうか。ざっくりとでも費用感が分からないと、予算を組むこともできず、実際の移転にも踏み出しにくいものです。
そこでこの記事では、オフィス移転に必要な費用の相場をご紹介いたします。あくまでも目安ですが、オフィス移転を検討する際にご活用ください。
オフィス移転費用の内訳と相場
オフィス移転費用は、オフィスの規模や立地、従業員数などによって異なるので、一概に「オフィス移転の相場は○○万円」という言い方はできません。そこで、内訳ごとの相場を挙げていきたいと思います。
オフィス移転の内訳としては、主に以下のようなものがあります。
- 引越し費用(引越し業者の作業員、車料、梱包資材、養生、箱詰め開封等)
※社員1人当たり2~3万円程度が相場になっているようです。 - 新オフィスの内装、レイアウト間仕切り工事費(パーテーション等)
※内装費の相場はデザイン内容やグレードによりますが、坪単価20~40万円前後が多いようです。 - 電気工事、電話・LANなど通信工事費用
※こちらの相場は、社員1人当たり5万円~が目安。 - 什器購入費用
※社員1人当たり10~20万円程度が多いようです。 - 賃料、預託金(保証金、敷金)
※合計すると賃料の6~15カ月分程度が目安になります。 - ネットワーク・セキュリティ費用
※一人当たり10~200万円程度が目安となります。
あくまで「相場」でおおまかな目安です。例えば、ハイグレードオフィスや内装にこだわりたい場合などはさらに高額になる可能性もありますし、業者や契約内容によってはこの相場から外れた金額になる場合も当然あります。ですから上記の内訳と相場は予算を立てる際の参考程度と考えてください。
オフィス移転の場合、どうしても新オフィスに意識が向いてしまうものですが、これまで使っていたオフィスの原状回復工事の費用も重要です。実は、オフィス移転費用の中でも、非常に大きなコストになるのが原状回復費なのです。
実際に、オフィス移転を控えた企業様が、原状回復費が想像以上で慌てて相談に来られるケースがたくさんあります。「原状回復の見積もりがあまりに高くて驚いた!」「こんな金額を請求されるなんて思ってもいなかった!」という驚きの声がたくさん寄せられています。
移転費用の総額は原状回復費で大きく変わる
原状回復とは、店舗やオフィスを借りたとき(入居時)の状態に戻すことをいいます。この原状回復を行う工事が原状回復工事です。
オフィスの基本的な賃貸借契約の多くは、借主(テナント)側が退去日までに原状回復をして返却することが義務づけられています。つまり、オフィス移転において避けて通れない要素といえるでしょう。
賃貸借契約書には「原状に復した上で、本件建物を明け渡す」 「躯体に関するものを除く、壁、天井、床等に対する修理は借主が負担する」など、どのような状態で貸主に返すべきなのか明記されています。
また、原状回復工事は「貸主指定の工事業者に依頼しなければならない」など、借主側に制約のある内容が記載されている場合もあります。
原状回復費用が高額になりがちな一因として、貸主の指定業者が提示してきた見積もり金額が高いか安いのか判断できないことにあります。これは、不動産・建築・法律などの知識がなければ判断しにくいのです。
同じオフィス移転でも、例えば引越ならば、いくつか業者を呼んで見積もりを取れば、比較して金額とサービス面から自社に最適な業者を判断できると思います。家具や什器の費用も「少し高いからグレードを落とそう」とか「もう少し高くてもいいからデザインのいいものを」などと、コストを簡単に把握できます。
しかし、「原状回復工事」の場合は、見積もりの内容を見ても指定業者1社だけなので高いか安いか判断できません。工事の範囲が適正なのかどうかすら、素人には判断が難しいのです。したがって、違和感を持ちつつ見積もり通りの費用を支払っているケースが少なくありません。
原状回復費は、ビルのグレードや契約内容、その他の条件でもちろん変わりますが、数百万~数千万単位の大きな規模の見積もり金額が出てくることも珍しくありません。原状回復費によってオフィス移転全体のコストが大幅にかわってしまうのです。
ですから、オフィス移転費用の予算を立てようと考えたら、必ず原状回復費に関する理解が必要になるのです。
※オフィス原状回復費の相場は、以下の記事で詳しく紹介していますのでご確認ください。

オフィス移転費用の総額は、本記事の冒頭で紹介した内訳の相場と、上記の記事の原状回復費相場を加味して、予算を割り出す必要があるということですね。
オフィス移転費用が高い!と思ったら
今回の記事をもとに自社のオフィス移転費用の概算を計算してみて「思った以上に費用が高い!」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
もしオフィス移転費用を大きく削減したいのなら、金額の規模が大きな原状回復費にメスを入れることが最も効果的です。
実は、原状回復工事の費用は適正価格とはいえないケースが非常に多いのです。
原状回復費を適正化し、見積額を大きく削減できれば、当然ながらオフィス移転費用全体もぐっと安くなります。
原状回復費が安くなった分を什器や内装などオフィス移転時の別の費用に充当してもいいでしょう。
または貴社の経営改善や新しい事業へのチャレンジに充てることも考えられます。いずれにせよ、大切な会社のお金ですから“活きた使い方”をしたいものです。
原状回復費の削減には、専門家によるサポートが不可欠です。
とにかく「高い!」とクレームを言ったり、生半可な知識でコストを下げようとしてもあまり成果は望めません。専門知識や業界の慣習などに基づいて動かなければならないのです。
早い段階で専門家に相談して、納得のできるコストでオフィス移転ができることが理想的ではないでしょうか。
※ご不明な点やご質問がありましたら、以下の記事もご覧ください。
